ケーススタディ

Case 06

JPRSとHOTnetによる
JP DNSサーバのローカルノード運用

株式会社日本レジストリサービス(JPRS)さまと当社がJP DNSとして初めて開始したJP DNSサーバのローカルノード運用について紹介いたします。

JPRSとHOTnetによる<br>JP DNSサーバのローカルノード運用

Point

  • JP DNS として初のローカルノード設置
  • JPドメイン名の安定性・信頼性を更に強化

課題

インターネットの利便性向上と地域内におけるDNSサービスの安定化

インターネットの利便性向上を⽬的とし、地域内におけるDNSサービスの安定化と、地域外における障害や状況の変化による影響の軽減は改善すべき課題となっていました。

施策

IP Anycastの導入とローカルノードの設置によるJP DNSサーバの安定性・信頼性向上

JPRSさまでは、JP DNSサーバの一つである「g.dns.jp」にIP Anycastを導入し、2021年7月12日、そのサーバノードを当社のHOTCNのネットワーク内に設置することで、JP DNSサーバを増強しました。
今回設置されたサーバには、当社のクラウドコンピューティングサービス「SC2」が用いられており、ローカルノードとして安定運用されています。

IP Anycast共通のサービス用IPアドレスを、複数のホストで共有する仕組みのこと。共通のサービス用IPアドレス宛の通信は、IPアドレスを共有する複数のホストのうちいずれか一つに到達するが、利用者は同一のサービスを提供する複数のホストのうちネットワーク的に一番近いホストと通信することが可能。は、一つの IPアドレスを複数のサーバで共有することでサービスの安定性・信頼性を高める技術で、今回の増強により、8系列のJP DNSサーバのうち6系列で稼働しています。(2022年4月現在)
IP Anycast では、インターネット全体にサービスを提供する「グローバルノード」と、設置されたネットワーク内のみにサービスを提供する「ローカルノード」の2種類のサーバノードを設定でき、それぞれの用途・目的に応じた形で使い分けることができます。

IP Anycastにより、北海道地域におけるJP DNSサーバへの到達性が高まると共に、アクセスがより多くのサーバに分散され、JP DNSサーバ全体の安定性・信頼性が向上します。
また、今回の増強では当該サーバノードをローカルノードとし、サービス対象をそれぞれのノードを設置した地域に限定することで、地域内におけるサービスの安定化と、地域外における障害や状況の変化による影響の軽減を図っています。
このように、インターネットの根幹技術であるJP DNSサーバーに当社のSC2サービスが利用されています。

コメント

株式会社 日本レジストリサービス (JPRS) システム部 平林 有理 さま

 これまでのJP DNSサーバにおけるIP Anycastでは、インターネット全体にサービスを提供する「グローバルノード」を導入してきました。
一方、わが国では東京と大阪にデータセンターや通信拠点が集中しており、災害やサイバー攻撃によりこれら2地域への到達性が失われた場合、特に地方のサービス事業者におけるJP DNSサーバへの到達性に影響を及ぼすことが懸念されました。
 この課題を解決するため、JPRSでは2019年から2021年にかけ、HOTnet様を含む国内ISP 9社と、DNSを標的としたDDoS攻撃への対策を目的とした共同研究を実施しました。
本研究では、IP Anycastのサービス提供範囲を当該ネットワーク内に限定した「ローカルノード」を用いた実証実験を実施し、ローカルノードの設置が当該地域に留まらず、JP DNSサーバー全体の可用性の向上にも有用であることが確認できました。
 今回のJP DNSサーバのローカルノードの設置は、本実証実験の成果によるものです。今後もHOTnet様と協力し、北海道地域、及びJP DNSサーバ全体のサービスの可用性を向上させていければと思います。

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